制作業界から医療業界へ

全く畑違いの医療機関で働こうと思った理由は、私自身特定疾患を患い、様々な患者や仲間と出会う中で、難病支援をしたいと考えたことがきっかけです。私の住む県にも支援機関はありますが、そういう職場で働きたいと思いながらも医療現場での経験がないため、職員にはなれないとわかり、まずは現場に入ってみようと思いました。

医療事務の講座に通い、医療事務やクラークの資格は持っていませんが、唯一「メディカルオペレータ」という資格がありました。その資格だけでどの程度通用するのかは不明でした。医科大学の事務を何度か応募しましたが全部落ちて、個人のクリニックならどうだろうと思い、チャレンジしました。

自宅から近いこともあり、通いやすさも考えてそのクリニックに応募しました。面接の段階でも未経験であること、資格は1つしかない事も伝えましたが、制作現場で培ったパソコンスキルと交通費がかからないことから、運よく採用となりました。面接してその場で決まったので驚きでしたが、本当は、病気のこともあったのでパート希望で受けたのです。面接の中で「フルタイムではどうですか?」と聞かれ、断ったら不採用になるかもしれない、また就職活動が長引く…そんな思いから「可能です」と答えました。

そのクリニックは土日祝、朝9時半?夜8時まで診療という場所でした。自宅から近いからなんとかなると思っていましたが、実際働き出すと予想以上に拘束時間が長く、体力的にじわりじわりと負担がかかってきました。

受付なので、体力的な負担はないにしても様々な患者さんや看護師とのやりとり、同僚との会話など、精神的に疲れが出て、めまいが続く日が多くなりました。

面接時点では、「シフトは不規則だけど、そんなにフルタイムにはならないから」という話でしたが、退職者が続き、正社員2人でフルタイムのシフトを回すことになりました。パートさんは2人いましたが、午後3時で帰ってしまい、土日祝もパートさんは休みとなるので、予想以上に負担が大きくなりました。なんとかお願いしてパートさんを含めたシフトを作り直し、求人も出して欲しいとお願いしました。

退職者の多いクリニックだったので、引き継ぎも中途半端な状態で教え方も中途半端。未経験の私としては、何を言われているのか全く理解できない時期が続きました。一緒に採用になった方はベテランだったので、2人で組んで受付業務をして初めて理解できるようになりました。

しかし時既に遅く、未経験で即戦力ではない事を理由に、「試用期間を持って契約終了です」と告げられました。院長から「うちは医療事務とクラークの資格が無いとだめなんですよ」と言われましたが、その資格がないことは面接時にも伝えており、承知していると思っていましたが、「あなたのスキル不足」の一言で終了となりました。確かにミスもしましたが、患者さんと接することで勉強になり、思いやりを持って接することも心がけていました。

自分自身に特定疾患があること、精神的な疾患もあることを面接時に告げなかったのですが、後々バレて、特に精神的な面で不安視されてしまいました。何度も「大丈夫なの?」と言われ、「ダメだと思ったら言って下さい。私も身の振り方考えますので」と答えていました。精神疾患が分かってからは看護師と事務長の態度がちょっと変わったので、もう潮時だろうと思っていたので、契約終了を告げられても、素直に「はい」と答えました。

持病がある人が面接時に悩むことの1つとして、病名を告げるか告げないかという問題があります。上司が理解していても、同僚まで情報が届いていないと、結局職場で嫌な思いをして退職してしまう、という人が多いのも事実です。

就職活動に多少時間がかかっても、正直に病気を告げて働く上での不安を減らすか、病気を隠して頑張るか。医療機関だから理解してくれるわけではなかったし、どの業種でも言うべき事は最初に全部言っておいた方がいいと思います。体調に合わせて働き方を調整してくれる会社もあると思います。

異業種への転職に失敗しても、決して無駄なことは無いと思っています。少しの間だけでも現場に関われたことに感謝しています。